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主催公演「音樂會〜馬場邦夫の詩による作品集〜」作品解説 [過去のイベント]

2021年8月31日(火)
神奈川県立音楽堂にて開催されました
POC主催公演
「音樂會〜馬場邦夫の詩による作品集〜」
につきまして、当日演奏された作品の解説を会場プログラムより転載いたします。

風車 そのほか
〜馬場邦夫の詩による混声合唱の為の三章〜
(ピアノ伴奏付き混声合唱曲)
「たからものてんじ会」(1970/オルフェの会)より

 「たからものてんじ会」は詩誌「Orphée」の同人5名の共著により1970年に出版された。表題作である寺村千草による童話「たからものてんじ会」に続き、馬場邦夫「風車 そのほか」、田中正之「確かな記録のための詩二篇」、寺本緑郎「桂子」、山田直「詩にならなかった詩 三篇」の4名による詩作品が収録されている。「Orphée」第67号(1972年3月)の編集後記には「たからものてんじ会」が米合衆国議会図書館からの注文を受け寄贈されたとの記載がある。
 「風車 そのほか」は14行詩四編からなる連作詩であるが、順に<I>~<IV>と冠された各編の第一行のみが太字のゴシック体で印刷されており、詩の第一行であると共に各編の表題としての役割が与えられているかの様な印象を受ける。柳澤がこの作品の存在を知ったのは2014年で、当時「みなこへのうた」初演に際し行っていた「Orphée」文献調査中の事であった。朗読付き室内楽として音楽化した「みなこへのうた」、バリトン歌曲とした「三田評論」の巻頭詩に続く合唱曲になるのではと考え音楽化を企図したが、諸事情により四編のうち「<III>まつりの夜です」を省略した3曲からなる混声合唱組曲として作曲した。作曲に際し念頭に置いたのは「歌いやすく、親しみやすいオーソドックスな合唱曲」というイメージで、各声部の音域や難易度設定については極力無理のない様に配慮したつもりである。以下に各曲の詳細を記す。

演奏時間:約9分
編成:混声四部合唱(SATB)、ピアノ伴奏
作曲時期:2020年4月~9月

<I>きみはおぼえてるかな
 風車を模したピアノ前奏で始まる叙情的な曲。軽快なテンポで始まる合唱は一旦落ち着いた後に前奏と結合されるが、表情に合わせて加速、減速される。

<II>きみがすきなものは
 ピアノ練習曲風の伴奏を素材に、家庭の温かな風景を描写しようと試みた。各声部の諧謔的なソロを経た後、一転して叙情的な回想で終わる。

<IV>日輪の天よりふりそそぐごとく
 前半は急速な同音連打を伴った舞踊風(5/4拍子)の動機による男性的な合唱で始まるが、これは作曲の師匠にあたる石井歡(1921-2009)、そしてその師匠であるカール・オルフ(1895-1982)の影響を受けたものである。様々な花火をめまぐるしく描写した後、鈍重なテンポで冒頭の動機が再現され、特徴的な「が」一文字による行も転調に利用しながら荘厳な終局へと導く。

(当日の会場プログラムには原作詩本文が掲載されました)

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